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クローズアップ20.ファルファッラ(蝶)のブローチ

蝶はイタリア語では"ファルファッラ"と言います。
言葉の音を聞くだけで、蝶が軽やかに舞う姿が
イメージできそうですね。

蝶の姿には左右対称性や規則正しい模様があり、
デザインをする上で、魅力的なモチーフのひとつです。
また、脱皮して、大きな羽根で飛び立つ姿から、
ヨーロッパでは幸運、復活の象徴ともされてきました。

フェデリーコ・ブチェラッティのサロンには、
いつもたいてい何頭かのファルファッラがいます。
今回は最も小さなブローチをご紹介しましょう。

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横の最長部分はたった3cmほどですが、
目を見張るほど繊細なインチーゾがほどこされた
ホワイトゴールドの羽根がシルキーな輝きを放ち、
並みならぬ手仕事であることは一目でわかります。

素材を活かした細工の美しさとともに
特徴的なのは蝶の造形です。

蝶のブローチにありがちな甘やかさを廃した
クールな三角形の羽根。
下方の先端は尖って外側に反っています。
このちょっとしたカーブが、
強さと躍動感を与えています。
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羽根の模様は非対称で少しずつ異なり、
縁取りの彫刻とともに、
有機的な情趣が感じられます。

頭や胴体部分は、クラフツマンシップの極致。
単にきれい、かわいい、というのではなく、
神秘的な形態を様々な技法でリアルに表現することで、
生き生きとした深みのある作品に仕上げています。

緻密な金細工で表情豊かに作られた
各パーツのひとつひとつの面白さに、
時間を忘れて見入ってしまうことでしょう。

小さなブローチだからこそ、
アクセントとしてあしらうというより、
端正なコートやスーツ、ニットなどの襟元に、
きちんと緊張感をもって着けていただくことで、
エレガントな雰囲気と趣味の良さが際立ちます。

自然を観察し、自然から学び、
その意匠をジュエリーに仕上げる過程では、
まさにさなぎが蝶になるような、
舞台裏での粛々とした努力と情熱があります。
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熟練の職人たちの手から生まれた
小さな芸術作品のようなブローチ。
部屋の片隅に飾っておくだけでも、
美しい輝きに心なごむ一品です。